皆さんは税務調査は嫌だという考え方があると思いますが、私が国税調査官時代に数回ですが、「よくぞ調査に来てくださった!」という会社も現実ありました。
その会社の社長に理由と尋ねると「社内の内部統制や経理が改善される」からだというのです。調査官からの指摘事項を今後の体制に活かすという訳です。恐れ入りました。
とは、言うものの一般の会社にとっては調査は嫌だと思います。できることなら避けたいと思うのが心情ではないでしょうか。
この調査を受けなくてもいいという方法が全くないわけではありません(しかし、あくまで可能性の問題であり絶対はありえません)。
「税務代理権限証書」、そして「税理士法第33条の2の書面(長ったらしいので以下「添付書面」と呼びます)」を申告書提出の際に合わせて提出した場合には、
(1)税務当局は、実地調査を行う前に、まず顧問税理士に「添付書面」に記載した事項に関する意見を述べる機会を与えなければならない。
(2)上記(1)の意見陳述により、税務当局の納得がいく説明が得られた場合には、その時点で調査は完了し、また申告内容に誤りがあることが明らかになった場合には、納税者側が自主的に修正申告するなどの手続きに移行する。
(3)上記(1)の意見陳述によっても税務当局の納得が得られなかった場合には、現地調査が開始される。
国税調査官時代、調査先を選定する場合に「添付書面」の確認を必ず行っていました。この「添付書面」があれば、第一次的には、余程の問題がない限り調査選定から外れる可能性は高いと言えるでしょう(個人的見解ですの絶対ではありません)。
実務的には、「添付書面」の添付があれば、上記のような手続きをとらなくてはならず、また、顧問税理士が責任をもって監査しているものと想定されるため、費用対効果を考えると敬遠されるのです。
この「添付書面」は、顧問税理士が隅から隅まで申告内容をチェックした、という宣言書のようなものです。税務署がわざわざ調査に来ずとも私が責任を持って税務監査を行なった、という証(あかし)なのです。ですから、これを作成する税理士には相当な注意義務が要求されます。まさに「税理士生命を賭けた」書面と言っても過言ではありません。従って筆者の事務所においては別途特別料金を頂いて作成させて頂きます。それだけ手間をかける必要がある書類ですのでご了承下さい。
(参考法令)税理士法30、同32、同35